カテゴリ:映画( 56 )

 

『君の名は。』

香港に着いてすぐに、私は日本滞在時に幾度となくその名を耳にした映画「君の名は。」を急ぎ観たのですが、スタジオジブリ、特に、宮崎駿監督とは全く違うタイプの才能あるアニメ映画監督、新海誠氏の作品を知るまたとない機会を得ることとなりました。

この映画をまだ見ていない方々のためにストーリーをお伝えしましょう。「君の名は。」は、10代の若者である瀧(たき)と三葉(みつは)が織りなすラブストーリーです。二人は、三年という時間のずれを超え同じ瞬間に存在し、お互いの身体と生活と住んでいる場所の入れ替わりが繰り返し起こります。やがて二人は恋に落ちますが、この時空の裂け目のようなものの影響により、二人が実際に会うのは難しい状況となります。なぜなら、三葉は彗星飛来の折、彗星の核が二つに分離・落下し、街が破壊された大災害で既に亡くなっていたからでした。瀧は、時間を遡りその状況を覆すことに成功し、三葉と街の人々は救われました。しかし悲しいことに、お互いの名前は、それぞれの記憶から消えてなくなってしまいます。それでも、感情と感覚は心の中にいつまでも残り続け、ついに二人は再会を果たすのでした。

続きはこちら....
[PR]

by Xavier_Astro | 2017-01-02 00:00 | 映画  

映画「インターステラー」

映画「インターステラー」ですが、私はなかなか観る気になれないでいました。クリストファー・ノーラン監督の作品について私はとても賞賛しているのですが、この映画についての、特にストーリーに関する否定的な意見を読み聞きしてしまったので、がっかりするのが嫌だったのです。ある夜、香港の友人がこの映画が素晴しかったと話していて、私は彼女の下す評価を尊重していたので、ようやく観てみることにしたのです。結果、彼女の意見に従って正解でした!「インターステラー」は真の名作と言えると思います。十分に評価され尽くすのに何年もかかることでしょう。

クリストファー・ノーランは、人間と宇宙空間の双方に渡る完璧な調和を見出しました。ノーランは、「As above so below(下にあるものは上にあるものの如く)」(天と人は、互いに影響し合っており、人は宇宙を映す鏡である。占星術においても根本原理になっている概念)という神秘の法則をおそらくは知らなかったのだろうけれども、彼は直観的な獅子座のアーティストだった(1970年7月30日 時刻不明、英国ロンドン生まれ)ことから、自身の経験してきたこと、才能を駆使して、人間と宇宙、双方を語る物語を創りあげました。ノーランは、1人の映画監督として意味深長で難解な物語をどのように伝えられるのか、そのヴィジョンによって、ハリウッド映画界の制作会社からの予算を勝ち得ました。ノーランは真のアーティストの中でも特に特権的なポジションに置かれていて、彼が望むことは何でも行うことができるほどに力を持っていました。どれだけの人たちが彼のことを羨ましく思ったか、疑うまでもありませんね。
e0182773_20325815.gif
Christopher Nolan
Jul/30, 1970
in London UK,
time unknown


さて、この映画のテーマですが、地球が住めない環境となり、人類が生き延びるために別の惑星へ逃げなければならなくなった先行きのない未来について描いていますが、このような暗黒世界を描くテーマは、使い古された感じもあり、SF映画にありきたりです。けれども「インターステラー」はそうではなくて、ノーラン監督は主人公および全人類の帰すべき故郷というテーマに、私たちを引き込んでゆくのです。地球が滅亡しようとする時に、家族を護るため戦いに挑む主人公クーパーに感情移入しながら、私はこの映画を観ていました。クーパーが、移住可能な他の惑星を探索するために愛娘を残して地球を発たねばならないシーンでは、彼の引き裂かれる想いを体感します。ぬくぬくとした地球の家から、時空を超えた計り知れない深淵へと、慣れ親しんだ環境を離れ、全く未知の世界へと行かねばならないのです。

故郷、家族、家、ルーツ、これらは皆、月と関連のあるシンボルです。クリストファー・ノーランのサインは、創造性の獅子座で、月が共感と想像のサインである蟹座にあります。この組み合わせはアーティストにとってのゴールデンコンビです。ノーランは独創的(獅子座)で、繊細で、自分自身だけでなく、他の人々がどのように彼のメッセージを感じ、受け取ったのかについて気にかけていました。クリストファー・ノーラン映画の脚本は、ノーランの弟が手がけていますが、このコンビはノーランにとって、自分が理解を得ていると感じることができて、安全安心でいられるものであったことでしょう。

マシュー・マコノヒー(1969年11月4日19:34、テキサス州ウバルデ生まれ)とアン・ハサウェイ(1982年11月12日午前9時、ニューヨークシティ生まれ)は共に蠍座ですから、この映画には、たくさんの水(感情)の要素があります。蟹座の感情操作は、時に感傷的になものになりがちですが、蠍座は浅はかで安っぽい感情を好まないのです。ノーランは、この二人の俳優を、ハリウッドの典型的な甘いムードのシーンに起用しました。 例えば、パパがまだ幼い愛娘の元を去るシーンや、80年もの別離の後に、家族が再び結集するというようなシーンにおいてです。けれども、蠍座の俳優たちはそうしたシーンを、深く濃厚で極めて現実感を伴うものになるよう演じているのです。インターステラーにおいては、映画全体に一貫して死の恐怖があって、それがゆえに、映画の中でくり広げられる冒険の数々が、残酷で、難解に感じられます。
e0182773_20385866.gif
Matthew McConaughey
Nov/4/1969
at 19:34 hrs
in Uvalde, Texas

e0182773_20394892.gif
Anne Hathaway
Nov/12/1982
at 9 am
in New York City


SF映画や、宇宙旅行、天文学を扱うテーマは天王星の領域です。ノーラン監督は彼のネイタルの月と天王星がスクエアというアスペクトがありますが、天王星というのは独創性、新分野への革新を司る天体です。それゆえ、ノーランは難解なコンセプトを探究し、宇宙の暗闇の隙間から我々を連れだし、未知なる宇宙への探索を体験させてくれます。ノーラン監督はいつも観る者に、私たちと馴染みのある感情を感じさせることを忘れさせません。(蟹座の月)ノーラン作品では、喪失と別離が常にテーマとなっていて、主人公は、自らの存在のルーツや、家族や愛というものに立ち返るべく必死になって戦うのです。バットマンの物語「ダークナイト」でさえも、このテーマからは逸脱していません。

月が天王星とアスペクトを結んでいる人は、愛する人と突然分かれねばならないような経験をします。クーパーは予期せず家族の元を去らねばなりませんでした。父と娘の別れには、痛みと不安と怒りが伴いました。まだ小さな娘のマーフはなぜ父親が自分を残して行かねばならないのか理解することはできず、置いてきぼりにされ、父に裏切られたと感じました。ノーランは自分の子どもが別れを受け入れることができないと分かっていました。この映画を通じて、クーパーの必ず娘の元へ戻るという約束と、マーフから何億キロも遠くに離れた場所へ連れて行こうする宇宙船でのクラクラするような出来事との狭間で、極限的な緊張と不安感を感じ続けることになるのです。

離れ離れになった父と娘の感情のすれ違いが、地球上の時間と、そしてブラックホールを通過し何百万年も離れたところを旅する速度という、二つの異なる局面での時間差を描くことで表現されています。これはアインシュタイン相対性理論によるもので、クーパーにとっての数時間が、地球にいる家族にとっては数十年に値するのです。この状況は、私たちの内的な感情的時間と、外的な客観的時間の狭間のギャップを表現する分かりやすい例として、描かれています。ある人たちにとっては、子供の頃に体験した感情に囚われてしまい、オトナになった今でも受け入れることができないのは、このためなのです。

家族の置かれた状況と宇宙の星々の間の旅路の究極のコントラストを描き、登場人物の感情の緊張状態を通じて、クリストファー・ノーラン監督は、時空間の迷宮を独自のデザインに構築しました。彼の出生図の土星(時間と空間)と海王星(時間の超越、境界線の消失)のオポジションが、この映画の中で、もっとも完成されたやり方でもって表現されたのでしょう。

ノーランは、オランダの版画家であるエッシャーを尊敬していました。インターステラーの重要なシーンは、エッシャーの数学的、物理学的法則を視覚的に表現したいという想いに倣っているのでしょう。クーパーが、現在と過去に通じる、果てしなく多数の局面を有した深淵なる図書館の中に囚われるシーンです。私の考えとしては、エッシャー(双子座、論理に長ける)は、ノーランに水をあけられていたのではないかと思っています。というのは、このシーンから、エッシャーの想像した世界に欠けていたものが何なのかが分かるからです。それは人間には感情という局面があるということです。この視点が見出されたことは、映画史上、きっと輝かしい瞬間となるに違いありません。SF映画の筋書きの論理が説明され、感情の旅路が、実は宇宙の創世と神秘と繋がっていることを、ノーランは明らかにしたのです。これは完璧な曼荼羅であると言えるのではないでしょうか。(終)

映画『インターステラー』 オフィシャルウェブサイト

___________________________

In English
[PR]

by Xavier_Astro | 2015-01-02 00:00 | 映画  

映画「her」〜アニマとの契約

この映画「her」を観終えた時、アカデミー賞脚本賞をとるのはこの映画だろうなと思いました。この物語は、コンピュータのOSと恋に落ちたひとりの男を描いた作品で、AI(人工知能)との親密な交流を通じて、人々が成長していく様を描いています。近未来を描いたSFなのですが、私たちはこの映画を観る時、ここに描かれている世界に属し、既にそこに生きている感じがするのです。全てのものが身近で馴染みのあるものとして感じられます。その映像はあまりに美しく、未来的だけれどとてもあたたかみがあって、淡いイエローからサーモンピンクにかけての色彩のグラデーションがこの映画のあらゆるシーンを繋ぎ、ひとつの統一されたムードをつくり出しています。

続きはコチラ....
[PR]

by Xavier_Astro | 2014-11-02 00:00 | 映画  

HER (A TREATY ON THE ANIMA)

The moment I finished watching ‘Her’, I knew it would win the Oscar Award for best screenplay; this story of a man falling in love with the OS (operative system) of his computer expresses the sort of intimacy people are developing with intelligent machines on the internet. It is a science fiction movie which happens in a next future, but we feel we are already there; everything in the movie feels close to us, real and familiar. The art design is brilliant, futuristic but warm; the arc of colour, from yellow to salmon or watermelon, integrates every aspect of the film.

More
[PR]

by Xavier_Astro | 2014-11-01 00:00 | 映画  

宮崎駿監督の詩

宮崎駿氏について書かれた巷の文章の中に「天才」とか「巨匠」という言葉がよく見受けられます。日本でも同じかどうかは私は分からないのですが、昨今のヨーロッパやアメリカでは、映画監督について語る時、例えばイングマール・ベルイマン黒澤明のような故人でもなければ、「天才」という表現をすることはめったにないのです。このことは、2003年にアカデミー賞長編アニメ賞を受賞、2006年、2014年と2度もノミネートされたこの類い稀な日本人の映画監督を、西洋の評論家たちが、評価しているということではないでしょうか。

続きはコチラ....
[PR]

by xavier_astro | 2014-04-02 00:00 | 映画  

THE POETRY OF MIYAZAKI

The words ‘genius’ and ‘master’ when referring to Hayao Miyazaki appear often in articles and comments about him. I do not know if the same happens in Japan, but nowadays in Europe and the USA, critics rarely use the word ‘genius’ when talking about important film directors, unless already dead, such as Igmar Bergman or Akira Kurosawa are, for example. This means that Western commentators recognize the unique talent of this Japanese film director, winner of an Oscar (2003), and nominated twice for an Academy Award (2006, 2014).

More
[PR]

by xavier_astro | 2014-04-01 00:00 | 映画  

「風立ちぬ」

昨年10月の来日時、私は靖国神社にある遊就館(戦争博物館)に連れて行ってもらいました。その時、零戦(零式艦上戦闘機)の実物を初めて目にすることとなり、また、その機体に実際に触ることができたのです。その瞬間、この戦闘機の放つ強烈なエネルギーと威厳のようなものを体感し、深く感銘を受けました。

その時点では、宮崎駿監督の最後の作品「風立ちぬ」の主題と筋書きについて何も知りませんでした。香港でついにこの作品を観ることが出来た時(その後、何回も観に行きました)、私はこの映画の素晴しさに感動するとともに、芸術的とも言うべき航空機でありながら悲運の最期を遂げた零戦に、この手で触れることが出来たのですから、このシンクロをたいへん嬉しく思いました。

続きはコチラ....
[PR]

by xavier_astro | 2014-02-02 00:00 | 映画  

THE WIND RISES

In my last visit to Japan, I was taken to visit the Yushukan (War Museum in Yasukini Shrine); there I had the opportunity to see and actually touch the A6M Zero Model; I was deeply impressed by the majesty and powerful energy this fighter aircraft radiates.

At that moment I knew nothing about the theme and plot of Hayao Miyazaki’s last film; when I eventually saw it in Hong Kong (several times by now), I was enthralled by the beauty of ‘The Wind Rises’ (Kaze Tachinu), and I was very happy with the synchronicity that had put me in physical contact with the A6M Zero, a work of art of aeronautical engineering with a tragic history.

More
[PR]

by xavier_astro | 2014-02-01 00:00 | 映画  

映画「そして父になる」

是枝裕和(1962/6/6 時刻不明 東京都生まれ)監督は、私が好きな日本の映画監督の1人です。欧米の観客や評論家は、是枝監督こそが日本の映画界を再構築し直したと言っています。彼の映画は、日本映画界の巨匠である小津安二郎溝口健二の芸術に明らかにルーツがありますが、それらの世界観にさらに新しい視野を与えるものとなっています。是枝監督の作品は、今の時代の観客が関心を寄せるような主題を、そしてそこに介在する矛盾や相対するものを描いています。日本だけでなく近代社会における、家族というものの伝統と現代の生き方の対比や、いのちに対する基本的な価値観と権力や地位の対比などです。

続きはコチラ....
[PR]

by xavier_astro | 2013-12-02 00:00 | 映画  

LIKE FATHER, LIKE SON

Kore-eda Hirokazu (Jun/6, 1962,Tokyo, time unknown) is one of my favourite Japanese directors; taken from the perspective of Western audiences and critics, he has reinvented Japanese cinema. His films are solidly rooted on the tradition of Japanese cinema masters, but he projects the art of Ozu and Mizoguchi into a new horizon. Koreedas stories involve themes and paradoxes that address contemporary audiences’ preoccupations: family traditions versus modern ways of life, or the essential values of life versus power and status, not only in Japan but in any modern society.

More....
[PR]

by xavier_astro | 2013-12-01 00:00 | 映画