さよなら、ホフマン

今月のコラムは何を書こうかと思っている時、フィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなったというニュースが飛び込んできました。あまりに突然で愕然としてしまったので、ホフマンのことを書くことにします。私は、映画に深く傾倒してはいるけれど、俳優やセレブのプライベートライフについて書かれたものを自分から読んだりしません。なので、トルーマン・カポーティの伝記映画の輝かしい主役を演じた彼が、実は麻薬常用者だったとは知りもしませんでした。本人が自分は薬物中毒だと憚らずメディアに話していたんですね。



多忙で才能に恵まれ約束された俳優が、ずっと中毒状態で居続ける時間をどうやって見つけたのか理解しがたく信じがたいことです。多忙な俳優が、数多くの映画や舞台で演じるために学び、準備するような健全な心をどうしたら保つことができるのでしょうか?俳優の仕事というのは極めて要求されることが多く、時間のかかる作業で、演ずる人物について勉強し、人物像を見出し、そこから作り込んでいくには、思考の明晰さを要求されるのです。あぁ、才能に恵まれながら、酷い薬物中毒の犠牲者となってしまう役者のなんと多いことでしょう!ヒース・レジャーの早過ぎる死は、記憶に新しいところです。

極めて才能に恵まれた俳優と、彼らが中毒に陥る傾向の関連性について、問題提起とその結論を導き出したいと思います。俳優に限らずその他の芸術家においても同じことが言えると思われますが、ここでは役者、ホフマンについてみていきましょう。

麻薬は、演ずることに伴うプレッシャーや、計り知れない名声の重みから逃れる手段なのでしょうか?言わずもがな、そうだと言えるのでしょうけれど、言い切るのは安易過ぎでないでしょうか。薬物中毒に陥る多くの俳優やスターは、成功し、有名になるずっと前から薬物を始めているのですから。金銭や環境、ホフマンの場合はハリウッドという環境は、繊細で世間知らずな役者を堕落させ、麻薬の売人の餌食にさせてしまうような要素があるのでしょうか?その誘惑はおそらく抵抗しがたいものなのでしょう。しかしながら、たいていのハリウッド俳優たちは薬物の誘惑に負けることはありません。あるいは、薬物依存に陥るなんてことがあるのでしょうか?彼らの出生図からそれが分かるでしょうか?

どうであれ、才能ある特別な人間を薬物に陥らせるのは何であるのかを知りたいなら、中毒者に対する道徳的観点による批判や、浅はかな同情的態度を取るようなことは慎まねばなりません。麻薬の売人や他人の弱さにつけ込むような人々を非難することもできるでしょうが、そういう人たちの餌食になった人に対して理解しようとする心を開くべきだと思います。

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Philip Seymour Hoffman
Jul/23, 1967
in Fairport, NY
time unknown

フィリップ・シーモア・ホフマンは1967年7月23日ニューヨーク州フェアポートで産まれました。普通ならば、獅子座ということになりますが、出生時刻は分からないので、もし午前9時までの生まれであれば、蟹座ということになるでしょう。彼の獅子座には木星があるために、火のサインの側面が強調されるので、蟹座か獅子座か判断しづらいところです。獅子座の木星は、舞台での爆発や創造性や、一般に演技そのものを表します。木星の全てを包括するという性質が獅子座のヴィジョンを明瞭にしています。人物像を作り上げる時、ホフマンがどこまで追究し得るのか、そこに限界などないのです。さらには、ホフマンの演じるキャラクターの範囲は、極めて幅広く、これまで演じた配役には、政治家(スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜)、神父(ダウト〜あるカトリック学校で〜)、悪党(ミッション:インポッシブル3)、慈悲深い看護師(マグノリア)、ポルノ製作業者(ブギーナイツ)、脅かされた派閥の指導者(ザ・マスター)、優秀だが狡猾な著名作家(カポーティ)などがあります。

この配役リストの幅広さは尋常じゃありませんが、印象的なのは、ホフマンの演じたそれぞれの人物像には倫理的矛盾や葛藤があるということです。ここで、私たちはホフマンの獅子座の木星の持つ性質(木星が象徴するのは人生の意味と倫理的価値)をよく理解することができるでしょう。映画「ダウト」で演じた神父は子供たちを教え導き救済することに献身していましたが、同時に児童虐待をしていました。また、カポーティは20世紀の最も素晴しいアメリカ文学の作家の1人ですが、「冷血」を執筆する際に、彼が取材した犯罪者に対し、その実、辱めたり、不当に扱うような行為をしていたのです。

ホフマンの月は水瓶座(人間性、利他主義的価値観)にあって海王星(人間性を全体性として調和させる)とスクエアをなしていて、人間の経験において、あらゆる境界や感情の場を超えさせるのに役割をなしています。倫理的に間違ったキャラクターや、下劣な敗者や、あるいは悪党だが信用のおける人物などを演じるためには、その人物像を理解し、人として扱うような、哀れみ深さ(月と海王星)を持つ必要があるのです。

ホフマンが持つ木星と海王星の性質による、この圧倒的直感力と人の在り方に対する理解力が、現実逃避への欲求を引き起こさせたのでしょうか?有能で直感力に富む気質ながら繊細過ぎる心を併せ持つことは、危険なことと言えるでしょう。ホフマンは若くして薬物に冒されてしまったわけですが、確かで約束された役者になるということが、ホフマンの依存的性質に制限をかけるように働いたのでしょう。(中毒者というのは常に中毒から逃れられないものです)どのようにして演じる人物になり切り、そしてその状態から抜け出るか、職業的に訓練し、俳優はそのテクニックを持っているにもかかわらず、ホフマンの場合は、ついに日常に戻ってくることが、困難になってしまいました。集合的無意識の領域という深淵まで行ってしまった俳優がみなホフマンと同じ道を辿るとは限らないとは思うのですが。

ホフマンは死に至る数年前から再び、薬物依存に陥ってしまったようです。彼の出生図には、トランジットの冥王星(過激な変容)が彼自身の土星(構造、現実的原則)とスクエアを、また、彼の水星(思考と論理)とオポジションをなしており、トランジットの天王星が彼の土星とコンジャンクションをなし、水星とスクエアをつくりながら位置しているということから、平常心を保つということができなかったのでしょう。私たちが現実と呼んでいるものや、彼の周りを取り囲む彼を護るはずの防御壁は崩壊してしまいました。その向こう側からやってきた悪魔や魔物が彼の精神を蝕んでしまったのです。トランジットの土星は蠍座にあり、ホフマンの月とスクエアをなしていたので、現実に引き戻すサインを送ったはずですが、彼にとってそれは難し過ぎたのかもしれません。

誰も彼を責めることはできません。けれども、本当に残念でなりません。冥福を祈りたいと思います。(終)

原文(英語)はコチラ

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by xavier_astro | 2014-03-02 00:00 | 人物  

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