「クンダリーニヨガ」と「安心感を与える毛布」(1)
20世紀の精神分析家や思想家の中で私が尊敬するのは、ジャック・ラカン、メラニー・クライン、アルフレッド・アドラー、、と、枚挙にいとまがないけれども、これらの人物たちが思いやりがあり慈悲深かったかどうかというと、どうでしょうか。
ここ最近私は、これまで心理学が語られて来たような明確な既存の領域を外れたところで、友情とアイデンティティーについて真剣に研究することを試みているのですが、この過程で、人間の精神を理解するのに貢献した優れた人物を新たに知ることとなりました。フランソワーズ・ドルトとドナルド・ウィニコットの二人です。彼らのことはこれまでも知ってはいたけれど、ちょっと軽んじて来てしまったのです。今になって、この二人の精神分析家の研究に熱中しているところなのですが、この二人のことを、精神分析、あるいは他のどんな類いのセラピーであれ、その守護聖人のような存在だとまで思うようになりました。彼らは自己中心的ではない、人類に貢献した哀れみ深い人物だったのではないかと思うのです。知性も自我も満たしてくれるのにも関わらず、ドルトとウィニコットとは違う考えの他のセラピストたちに少し不服があるようです。この二人はそれぞれに違った文化や背景を持っていますが、共に人々、特に傷ついた子供の魂を救うために人生を捧げたのです。もしこの二人が別の時代に生きていたなら、聖者の列に加えられたことでしょう。インテリな私の友人が、私がこんなことを言ってるのを聞いたなら、きっと私を笑うのでしょうけれど。
今回はドナルド・ウィニコットについて述べたいと思います。(1896年8月7日イングランド プリマス生まれ)彼は友情というテーマについてそれ自体を探求したわけではないのですが、彼の理論と書物の中に、友情とアイデンティティーと創造性について、理解をさらに深めるのに助けになった豊かな素材と概念を、見出すことができたのです。
ドナルド・ウッズ・ウィニコットは小児科医だったことから、10才児の精神分析を1923年(彼の最初の土星回帰が蠍座で起きている最中)から始め、後に精神分析家となるに至ったという経歴の持ち主です。ウィニコットはメラニー・クラインの理論に深く影響を受けていたのですが、クラインの支持者とアンナ・フロイトとの間の権力争いに巻き込まれないようにしていました。当時、どちらの学派も、フロイトの思想と理論を正統に引き継ぐのはウチだと主張し合っていたのです。後にウィニコットはジャック・ラカンから学んだいくつかの概念を、自分の学説に統合しました。ウィニコットは他の教師から学び適用した思想はなんでも、彼独自のヴィジョンにうまく統合させていったのです。
この英国の精神分析家は、赤ちゃんや子ども、大人も何歳の人でも診る対象としていました。彼は一生のうちにおよそ60,000人もの子どもたちとその母親を診たと言われますが、この体験を通じて、ウィニコットは思いやり、慈悲の心を発展させることになったのだろうと私は思っています。牡羊座の直感力を用いることで、彼は成人患者の中に住む子ども像を捉えることができたのです。彼の子どもたちの患者について、ウィニコットは母親たちが子どもたちを理解できるよう、また、彼女たちがプロセスから逃げ出さずに、健全な創造的な人として成長していくことができるように導きました。
Donald Woods Winnicott
born on Apr/7/1896
in Plymouth, UK
ウィニコットは、感情的で虐待する母親だったという個人的体験があったようです。それは水瓶座の月が蠍座で土星とスクエアをなしていることから分かることです。問題のある青年期を過ごしたけれども、彼は後にセラピストとしての活かすことになる深い洞察力を、個人的体験から発展させたのだと言えましょう。彼のアセンダントが何座かは分からないのですが、彼のチャートの天王星を見れば、彼が遭遇するどんな状況であれ、彼独自の特別な解決法を見出す力、特にセラピストとしての能力を携えていたことが分かります。一般に、蠍座に土星があるのは、最も困難な配置の一つと言えるのですが、それは、蠍座の持つ冥王星と火星のエネルギーが変容のエネルギーにロックオンされてしまうからです。エネルギーが過剰になってしまう時(例えば、恐れ、怒り、欲望、欲求不満など)、その人の人生において深刻な危機が引き起こされることがあります。ウィニコットが、自身の冥王星のエネルギーを解放し変容させるために直感力を持ち働かせることは必然でした。
もちろん、ウィニコットの5室(創造性と遊び、ゲームの部屋)は極めて創造的で活発で、天王星と土星が合で、また冥王星と海王星、太陽までもがアスペクトを結んでいました。かれは心臓に問題があって、1971年(トランジットの土星が彼の出生図の土星とオポジションを結んでいたその年)に心臓発作で亡くなりました。私の長年の象徴についての研究とクンダリーニヨガの実践を通じて、特定の臓器や肉体のシステムに働きかける方法を私自身は見出すことができました。臓器が道具として衰弱するまで酷使されたなら、やがては臓器不全に陥ってしいます。ウィニコットは自分の心(心臓)を使って慈悲を表現したわけですが、それは患者さんの心(心臓)と自分の心(心臓)を同調させるということでした。何十年も働き通して、結局は自分の心臓を壊すことになってしまいました。
このコラムでは、ウィニコットの発見した主な思想から3つを採り上げたいと思います。それらとクンダリーニヨガの実体験を結びつけたのは、私ならではの独自の取り組みということになります。(続く)
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by xavier_astro | 2013-11-02 00:00 | 心理