大悪徳(悪習)6(2)憤怒

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映画や文学には、たくさんの狂暴で怒れる登場人物が出てきますが、私のお気に入りは、マーティン・スコセッシ監督(1942年11月17日午前0時24分、ニューヨーク州フラッシング生まれ)、主演ロバート・デ・ニーロ(1943年8月17日午前3時、ニューヨーク州ブルックリン生まれ)、よく知られるボクサー ジェイク・ラモッタ(1921年7月10日時刻不明、ニューヨーク市生まれ)の生涯を描いた映画「レイジング・ブル」です。ラモッタの自伝を基に、一人のボクサーの成功と破滅を描いた作品で、スコセッシはこのボクサーの家族や複数の妻たちに対する嫉妬心や破壊的態度を追究しました。ラモッタの最悪の被害者は彼自身だったと言えましょう。



ラモッタがまだ少年であった頃、父親は彼に喧嘩を無理強いさせ、金を稼いでいました。これは明らかに子供への虐待です。本来なら父親は子供に信頼の基礎と自尊心を与えるべきです。こんな風に利用された子供は、自分が殴られるような状況に置かれたとしても、自分の親であるはずの父は心配することもなく、ただ自分を利用してお金を稼ぐことしか興味ないのだと感じたに違いありません。この男の激しい怒りと恨む気持ちを想像してみてください。スコセッシ監督のこの映画を白黒で撮るという選択は、この好戦的な男の人生の倫理観には白か黒しか無かったということを表しています。最もみごとな場面の一つは、ラモッタ(デ・ニーロ)が牢獄の壁を激しく叩くシーンです。その場面でのライティングは二つの幾何学的な形を映し出しますが、一つは白、もう一方は黒です。この無謀な男は影から光へ、そして再び影へと揺れ動き、それはまるで影が彼を飲み込もうとしているかのようです。

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ジェイク・ラモッタ
1921年7月10日
時刻不明
ニューヨーク市生まれ

ラモッタ(今も生存している)の太陽が蟹座であるという事実は、彼がどれほど必死で愛され、受け入れられたかったかということを示していますが、彼の自信の無さがゆえに、常に彼は危うい状態に居続けることとなり、彼には自分自身をしっかりさせられるだけの内なるスペースがありませんでした。彼の太陽は火星(攻撃性の惑星)とも重なっていました。火星はその人を非常に競争的で要求の多い人物にさせるのです。何でも今すぐ欲しがり、一番になりたがります。スコセッシは太陽が蠍座、火星も同じく蠍座で獅子座の冥王星とスクエアになっています。この映画には、西洋映画史上最も暴力的と言われるシーンがいくつかあって、このことはもちろん彼自身の激しい怒りの解放を助ける手だてとなりましたが、彼の蠍座の気質が、他のサインの火星にはない洞察と深みを与えています。

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ロバート・デ・ニーロ
1943年8月17日
午前3時
ニューヨーク州
ブルックリン生まれ

ロバート・デ・ニーロは攻撃性と強いつながりのある獅子座です。ショーン・ペンもデ・ニーロと同じ8月17日生まれの獅子座で、多くの暴力シーンを演じています。ヘラクレスは獅子座的ヒーローで、いつでもライオンの毛皮を纏い、怒りに狂い、自分の子供たちに襲いかかり殺してしまうのは、有名な話ですね。さて、私たちはデ・ニーロの私生活について多くは知りませんが、確かなのは彼は優れた俳優であるということ、ジェイク・ラモッタを演じその化身となり、アカデミー賞主演男優賞を勝ち取ったということです。デ・ニーロはボクサーであるラモッタ本人から、数ヶ月の間、ボクシングのトレーニングを受けました。デ・ニーロの蟹座のアセンダントは役柄と一体化するための確かな橋渡しをしました。蟹座のカメレオンのような変身能力はずば抜けています。そして、ラモッタの出生図の木星と土星(鍛錬と意味のある学びの惑星)は、デ・ニーロの乙女座の水星と金星と重なり合っています。この映画を演じた後、デ・ニーロの人生はそれまでと全く変わってしまったことは確かでしょう。

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マーティン・スコセッシ
1942年11月17日
午前0時24分
ニューヨーク州
フラッシング生まれ

マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロは両者とも月が魚座(ほぼ同じ度数)にあります。シナストリー(相性図)的には、このアスペクトはある種のテレパシー的なつながりを生み出します。スコセッシの数多くの映画においても、スコセッシにとってデ・ニーロはずっと理想的な俳優でした。デ・ニーロも牡牛座の火星が獅子座の太陽とスクエアしているので、火星的な人といえましょう。この作品に関わった三人ともが、パワフルで活動的な火星を出生図に持っていますが、表現の仕方はその人それぞれです。

あまりに多くの喪失、痛み、そして屈辱の後に、ジェイク・ラモッタは忍耐と謙虚さを学びました。過去の出来事について書くことは彼にとって辛いプロセスだったに違いありません。しかし自分の役を演じようとするデ・ニーロに戦い方を教えた時、大きな浄化が完結したのだと私は思います。それから、ラモッタの2人の息子たちは、若くして非業の死(肝臓癌と車の事故)を遂げているようです。

私たちはレイジンブ・ブルの観客として、このスコセッシの名作から何を学ぶことができるでしょうか?第一の答えは、暴力的な男であったとしても、哀れみと同情心を持てということでしょうか。容易なことではありませんね。私たちは暴力的な者に対して怒りと憎しみを感じ、彼らは処罰されるべきだと考えるのが、普通のことなのですから。しかしそうやって、私たちは暴力という悪循環に陥ってしまうのです。怒れる男たちはみな、たいていは虐待を受けた子供たちであり、彼らは結局、自分自身の暴力の最悪の犠牲者なのだということを、私たちは心に留めておく必要があります。

第二の答えは、私たちは自分自身の中にある怒りを認めねばならないということです。そして、デ・ニーロやスコセッシのように、創造的な方法で怒りに対峙する方法を学ぶのです。火星がもし神性あるものならば、それは尊重され、敬意を払われる必要があります。私たちは自分自身の火星を使って、自ら求めるもののために戦わねばなりません。その人の持つ火星の性質によって、身体的に、理知的に、あるいは芸術的に表現されることでしょう。私たちは生きることへの恐れ、そして自分を表現することへの恐れを克服しなくてはならないのです。(了)

原文(英語)はコチラ

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by xavier_astro | 2012-06-16 00:00 | 心理  

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