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大悪徳(悪習) 2 (2)

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実のところ、強欲や欲張り、あるいは他の大罪もそうですが、それらを抑圧することが最悪の所業と言えるでしょう。実際、水星の活動を抑制することなしに、その水星のような、常に活発で際限なく好奇心旺盛なアーキタイプをコントロールすることは実際的には不可能なのです。強欲者というのは、その心の奥底で怯えた子供なのであって、その子は生きながらえるかどうか不安で仕方ありません。その子にとってこの世は生きるにはあまりに不確かな場所で、これから起こることを恐れているのです。強欲者の自尊心は極めて低く、自分自身があまりに空虚に感じられるので、だから自分の金庫を金で満たすことによってのみ、気分がよくなり落ち着くし、尊重されるに値すると思えるのです。



強欲、あるいは違った度合いの貪欲さに働きかけていく最初の段階では、この大罪の根っこにずっと居座る恐れと不安を認め、自尊心を欠いている状態に目を向ける必要があります。このポイントこそ、この罪(嫉妬や高慢にも同様に)を理解する上で鍵となるところだからです。常に何か違うものを欲していることで、強欲者は常に自分の本当の欲求が分からなくなっています。この種の人は自分の強迫観念を、未来の不確かさによって正当化するので、現実を生きていません。この大罪を擁護するために、その人はこの罪に絡む特定の技と能力を発達させます。強欲は時に極めて客観的になり得るし、バランス感覚があるのです。自分の置かれた状況と本当に要求するものの真の価値を見直すためには、自らの客観的視点を変化させて、物質的な所有物と今いる状況について深く考える必要があります。さらには、自分の周りの人々が彼の行いに対してどう感じるのかについて、考え始める必要があるでしょう。

通常、強欲な欲張りは、他人は自分をだまし、お金や財産を取り上げようとしているものだとしか考えません。水星(環境との関わりを意味する惑星)がこの罪と関係していると考えると、幼年の早い時期に固着があります。小さな子が自分の周りにあるもの全てを手に入れようするのだけれど、自分よりも強い人がそれを奪い取ってしまうのではないかと恐れているのです。第二段階は、美徳である慈愛の発達であり、それは周りの人にもまた、その人たちそれぞれの恐れと欲求があり、彼らが必ずしも自分の所有物を欲しがるわけではないし、あるいは、自分よりももっと必要に迫られている人がいるかもしれないということに、気づいていく段階です。つまりこれは他者に共感していくということであり、感情的なつながりを通してのみ、私たちは人々が何を感じているのかに気づくことができるのです。強欲な欲張りが、いったいどれだけ子供じみた態度を取るかについては驚かされるばかりです。

その他の方法としては、強欲であることと、つましくあることの違いを認識することです。つましい人は、自分の資質に対して注意深くあることを知っています。私たちは自分の資力を無責任に浪費してはならないのです。つましい人は責任能力があり信頼が置けますが、しかし強欲な欲張りは結局は良識がないのです。そういうわけで、モリエールの「守銭奴」にも描かれているように、数多くの戯曲の中で、ケチな人物が、物笑いの種にされるようなキャラクターとして登場します。漫画に出て来るキャラのようですね。

最後に、慈愛、思いやりを、私たちの魂の根幹にある美徳として獲得し、自分のものにしていく最も重要な段階、それは勇気を持つことだと言えましょう。誰も先のことは分からないけれども、私たちは自信をもってそれに立ち向かわねばならないのです。とすると、勇気は信念だけから来るものでなく、むしろ思考すること(水星)から来るものであるが故、人は客観的に考えねばなりません。何が起ころうとも、常にそこには問題に対処すべき方法が存在するのですから。一方で、いくらお金や財産を貯め込んだところで、大災害で全てを失うことだってあるわけですが。人類が知性と勇気を駆使して、最悪の状況を生き延びてきたことを、歴史は示してくれています。

慈愛の最も有益なところは、この美徳がセルフ(自己)を拡張させることです。慈愛を持った人は、自分のエネルギーを、どのようにして社会のシステムにおいて、循環させられるかが分かるのです。健全なセルフだけが、最も洗練されたレベルにおいて、あるいは最もシンプルな状況において、人生を楽しむことができえましょう。そして、慈愛に溢れた人だけが、恐れることなく他者に愛を与えることができ、また愛を受け取ることができるのです。(終)

守銭奴 (岩波文庫 赤 512-7)

モリエール / 岩波書店


原文(英語)はコチラ
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by xavier_astro | 2012-02-16 00:00 | 心理  

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