チリ鉱山落盤事故 鉱夫と洞窟と不死鳥のシンボル (1)

フェニックス(不死鳥)は伝説上の鳥で、数百年の時を生きた後、火の巣の中で死して、その自らの灰の中から再び生まれるとされます。この伝説の起源はエジプト神話ですが、地中海やローマ、ペルシャを始め、中国や日本に至るまで数多くの伝承の中にも出てきます。

錬金術師たちはフェニックスを、永遠の生命と不老不死の象徴である賢者の石の発見という、彼らにとっての最重要シンボルとして用いました。スペイン語でPhoenixはFenixと綴られ、この伝説上の鳥の名は、チリの鉱山地下深くに生き埋めとなった鉱夫たちの救出カプセルの名前に使われました。意図的にそう名付けたのかどうかわかりませんが、敬虔なカトリック信仰のラテンアメリカの国において、非常に的確な選択だったと言えるでしょう。と言うのも、フェニックスは、キリストの死と復活に関わるシンボルでもあるからです。

コピアポ鉱山落盤事故・・・チリ、コピアポ近郊のサンホセ鉱山にて、2010年8月5日に発生した坑道の崩落事故(訳者註)



チリ北部コピアポ鉱山の落盤事故と、地底に2ヶ月以上も閉じ込められた33人の鉱夫の救出劇は、2010年の最大の出来事の一つでしょう。この救出活動時には、100万人もの人々がテレビ中継でそれを見ていたと言われています。

地下700メートル近くの暗くて蒸し暑い洞穴の中に、あんなにも長い間閉じ込められるという恐ろしい体験の後、その経験は33人の人生や精神を完全に変えただけではなく、国全体の考え方をも変容させることとなりました。チリの新しい大統領セバスティアン・ピニェラは彼らに対し「これを体験した後、あなたたちはもはや別人なのだ、チリもまた変わらないではいられない」と告げたのでした。

この落盤事故は、劣悪な労働条件と鉱山会社の保安責任の欠落によって、2010年8月5日の午後2時に起こりました。そして救助活動が始まり、当初は何ヶ月もかかる予定だったのにもかかわらず、フェニックス・カプセルによって最初の鉱夫が救出されたのは10月13日の午前0時10分のことでした。これは事故当初からの多くの国々や国際機関による機器や技術的援助の提供が続いたことによるもので、NASAまでもが閉じ込められた鉱夫たちの救出に積極的に参加したのです。

これ以前に既に、チリは、度々の地震に見舞われた国としてニュースになりました。その地震の中で一番強かったのは、2010年2月27日午前3時34分(ADT)に発生した津波を伴うもので、多くの人の命と、そして物質的被害をもたらしました。(私がこの文を書いている間にも、チリでまた強い地震がありました。)国家構造は揺らぎ、経済的、社会的そして政治的に新しい方向性へと動き出すこととなりました。

70年代の独裁政権と政治的騒乱に苦しんできた、この美しく、豊かな南米大陸国の様相が、「変容」というまた別の危機を迎えていることは明らかです。ご存知のように、国家も人と同じように独自の出生図をもっており、それには一般的に言われている歴史上の明らかなデータを用います。通常用いられるのは、チリの独立戦争(1810年9月18日)のチャートなのですが、私はチリがスペイン軍を破ったマイプの戦い(1818年4月5日午後2時)の時のものを好んで使用します。この時こそがこの国家が生まれた瞬間であり、それまでは征服者と戦っている植民地に過ぎなかったからです。

フェニックスのシンボルは、全ての鉱夫たちに当てはまります。それは、何日もの間、暗闇に生き埋めにされ、象徴的な死を迎えた後に、光の世界へと戻る体験をしたからです。このあまりに過激な経験の後には、彼らの人生はそれ以前と同じでは有り得なく、人生の意味するところが全くもって変わってしまったと全員が言っています。彼らの家族やその救助活動に関わった多くの人々にも同じ事が言えるでしょう。それどころかこの国全体が、そのニュースを日々追い続け、日々少しずつ救助の時へと近づいていくプロセスと自分を重ね合わせていました。チリ人は非常に政治的で情熱的なラテンアメリカの人々であり、メディアの報道によって、全ての国民が、この出来事を自分のことのように経験したはずです。マイプの戦いのチャートでは、太陽は牡羊座であり、リーダーシップ傾向を持つタフで激しい戦いの国を示しています。

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マイプの戦い
1818年4月5日
午後2時


今回の鉱山落盤事故は、この出来事そのものが世界にメッセージを放っています。それは山羊座冥王星の最も明らかな表現だと言えましょう。事故のチャートを見ると、変容の惑星である冥王星は第1室にあって、10室の火星、土星、金星及び4室の木星、天王星と、5つもの天体とスクエアを成していました。また、火星と天王星のオポジションは突発的で暴力的な衝突と言えますが、戦いや革新への可能性を指す時もあります。閉じ込められた鉱夫たちは最初から救出されるまで、生き延びるために戦い、そしてまた自分でも思いもよらなかった能力を発見し発展させました。また鉱夫の救出に関わった技術者やエンジニアそして科学者たちは、とことん調査し、新しい技術を適用し、今後の災害時に用いられるであろう革新的な救出の手段をあみ出しました。

牡羊座にある天王星と木星のコンジャンクションが意味するのは、これこそが天体の配列(特に土星外惑星(天王星)が関連している時の)が、そこにある潜在性を見事に表現しえた真のエピファニー(顕在化、意味の現れ)の見事な例だと言えるでしょう。天王星の創造性は突然の挑戦的な状況で活性化され(牡羊座)、木星は人類にとって意味のあるメッセージを発信し続け、この二つの天体によって、科学や人知に新たなる知識がもたらされ、新しい道が開かれることとなるでしょう。

人類学や社会心理学の専門家たちにとっては、33人の鉱夫という集団が、極限状況下におかれた時、生き延びるためにどの様に反応し、また自分たちを組織化したのか、大変興味深い研究材料となるものでしょう。例えば彼らの中の1人の軍隊経験者は、皆に責任を割り当てる司令塔となり、また別の者は共同体全体の健康を護る医者、治療者としての役割を担いました。またある者は牧師となり宗教的な日課を執り行うと共に、絶望して、救われる望みや信仰を失う者たちを支えました。

忍耐、過酷な環境への適応、責任感、重労働や組織化といったテーマにおいては、確かに土星が関与していますが、しかし、司令塔(リーダー)や、医者、 牧師といった、如何なる人間社会のつながりにおいても、意味を与えるアーキタイプ的な役割りの自発的な分担は、集合的無意識の木星的な表現と言えましょう。そして牡羊座の火の要素はその意味を純化させるのです。チリ人たちは、社会におけるどんな政治的争いであれ、その目的は、その民族の基本的な伝統的ルールを尊重するものでなくてはならいということを学んできました。木星的な性質は、射手座のアセンダントと、木星と射手座の室にある9室の獅子座の太陽にも現れています。獅子座のサインはこの出来事の劇的さを物語るように、何百万もの人々がニュースを見ていて、何百人もの人々が救出活動に関わり、最先端の機器が多量に導入されました。個人的な経験(獅子座の太陽)と社会的あるいは民族的な協調(木星、射手座、9室)が、ここで結びついています。33人の鉱夫一人一人が自分自身を唯一無二の存在であるとともに、社会の一部であるという、自己に対する新たな気づきと認識を深めることとなりました。またチリ国民のみならず、救出劇を見ていた世界中の全ての人々が、それぞれの方法論で、集合無意識からの学びを得たのです。(続く)


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コピアポ鉱山落盤事故
2010年8月5日
午後2時


原文(英語)はコチラ

チリ鉱山落盤事故 鉱夫と洞窟と不死鳥のシンボル (2)
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by xavier_astro | 2011-02-02 00:00 | 占星術  

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