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報復の女神ネメシスとアリストテレス・オナシスの生涯(2)

オナシスは若い時分、自分たちの都市にトルコが侵攻してきた時、家族を救うために最善を尽くし、困難に立ち向かいました。しかし、彼の父親はついに彼を受け入れることをしませんでした。また、母親は彼がまだ少年の頃に亡くなりました。母親の名前はペネロペと言い、これが彼がオデュッセウスと自分を同一視した一つの原因ともなっているでしょうし、彼は自分の全人生を、その女性関係を通して母親を捜すことに費やしたのです。彼のことを自分のアニマ、彼の中の女性性、母性の側面に囚われた男と言うことができるでしょう。彼の射手座の月が彼の感情生活を完全に支配したのです。彼の名声と最も関係の深かった女性というのは、火の要素の強い女性たちでした。20世紀最高の歌姫マリア・カラス(1923年12月2日7:07、ニューヨーク市生まれ)は射手座でしたし、ジャクリーン・ケネディ(1929年7月28日14:30、ニューヨーク州サザンプトン生まれ)は獅子座でした。マリア・カラスは太陽とアセンダントが共にこの拡張的な火のサインにあり、ジャクリーンの太陽は、射手座と木星の部屋9室にあったので、彼女もまたひどく射手座的な人でした。



はっきりしているのは、オナシスは自分の真の土星的な性質を受入れられなかったということで、それは恐らく彼の土星が魚座というつかみどころのないサインにあったからかもしれません。土星は本来バウンダリー(境界、制限を示すもの)を司る星ですが、それが魚座にあったり、海王星とつながっていると、制限や責任感への気づきは完全に薄れてしまうのです。この才能溢れた、大胆不敵な男は、その魚座の土星と、彼の水星(事業、流通とコミュニケーション)と角度をなす蟹座の海王星によって、どの国よりもパワフルな船団を造り上げました。また、彼はギリシャの全航空路(オリンピック航空)さえ手中に収められる程でした(水星・天王星)。が、しかし彼は自分は法を超えていると考えて、莫大な富と権力を持つことに付随する山羊座としての責任を、決して引き受けようとはしませんでした。もしかすると彼は、他者に対して果たすべき真の責務が何処にあるかに目を向けたくなかったのかもしれません。

オナシスはジャクリーンを愛していたのでしょうか?愛していなかったとロバート・リンゼイは言っています。オナシスは彼女をトロフィー(功業を示すもの、飾り)とみなし、それを使っていたに過ぎません。特に、彼の最大の敵であるロバート・ケネディに対峙するためのものでした。ジャクリーンにとっては、オナシスが彼女に与えてくれる物質的な安心を求めていました。彼女は2室に射手座の土星がありますが、このポジションは、裕福だろうが貧乏だろうが関わりなく、お金に関する問題に苦労しと不安が止むことのない典型的な例です。彼女は極めて野心的で、強欲な母親(10室の火星)でした。一生を通じて、彼女は常にお金の心配をしていて、安心できませんでした。オナシスはそれを分かっていて彼女と結婚したのです。興味深いことに、蠍座のボブ・ケネディは幾つかの天体が山羊座にあって、その中でも月は彼の大敵、オナシスの太陽と重なり合っています。二人は互いの弱みを分かっていて、それが故に、互いに憎しみ合っていたのです。

この一連のダークな出来事とその権力闘争における物語の中で、高潔であり続け、人々のどんな忌まわしい動機からも外れた唯一の存在は、オナシスがジャクリーンとの結婚を決めて見捨てられた、マリア・カラスその人です。彼女とオナシスは最後までずっと逢い続けていたのですが、彼女は失意からパリで亡くなったのだということを、ピーター・エヴァンスはほめのかしています。マリア・カラスもまた、ジャクリーンがそうであったように、醜い強欲な母親を内に持っていました。しかし二人の根本的な違いは、マリア・カラスは、その乙女座の月を用いて、誰よりも厳しく自分の華麗な歌声を発達させ、磨きをかけることに取り組み、自分自身を創り上げたところにあります。二重の射手座の影響もあり、かつては太った少女だったマリアでしたが、その後、自分の肉体さえも、その時代の最も魅惑的な女性の形へと変容させたのです。

二重の射手座と太陽・木星のコンジャンクションにより、マリア・カラスは才能に恵まれていました。しかし彼女の天秤座(芸術と美のサイン)にある土星・火星によって、彼女は自分の魂と肉体を形作る彫刻家のように働きました。それに加え、彼女の金星(天秤座の支配星)が山羊座(土星のサイン)にあることから、マリア・カラスは常に自分の才能に不安を感じており、自分の声に決して満足することができず、最後にはその声を破壊してしまうのですが、それでも彼女は引退する直前まで勉強し学び続けていました。ところで、彼女の山羊座の金星と乙女座の月は、彼女のオナシスへの愛情を説明するものといえましょう。彼は彼女に多くの宝石(山羊座の金星)を与えましたが、それを身につけることで、他のどんな歌姫とも比べ物にならない、女王の様な威厳をまとうことのできる宝石を彼女は愛してやみませんでした。火のようなスピリットにも関わらず、彼女の魂と肉体は非常に土的でした。オナシスにはたいそう魅惑的な恋人が何人もいて、その中にはヴェロニカ・レイクのようなハリウッドのスターたちもいましたが、彼女たちの殆どはは真の才能やハートがあるというよりは、うわべと外面的なルックスの人々でした。

ジャクリーンについて言えば、彼女のチャートの9室(高等教育と知識)にある獅子座の太陽と水星から見て取れるように、彼女もまた才能ある、知的な女性でした。彼女は最初ジャーナリストとして活動し、晩年には雑誌の編集をしていました。しかし彼女は最後まで自分の才能を真剣に開花させようとはせず、ジョン・F・ケネディやオナシスのようなパワフルな男たちを通して世界を手に入れようと、その自分のルックスに頼っていました。しかしその両者とも彼女を不幸にし、彼女に対して不誠実で酷い扱いをしました。そして恐らくオナシスと彼女の関係と、そしてオナシスのボブ・ケネディ暗殺への疑惑が、「ケネディ家の呪い」と呼ばれる、皆が悲劇的な死を遂げるということへ彼を至らしめたのではないでしょうか。

オナシスは唯一の息子を亡くしてから、たったの2年しか生き延びられませんでしたが、彼は決してそれが本当の事故であったとは納得せず、常に殺人だと疑っていました。彼の最初の妻、アテネは自殺し、娘のクリスティナは長生きできませんでした。

現在、冥王星が山羊座に入ったことで、オナシスのチャートは、秘密を明るみに出し続け、セレブと呼ばれる人の陰謀や善行、悪行、ゴシップネタに限らず、権力が誤用された時、あるいは神と競うというような思惑を持てば、いったいどうなるのかについてのいい例を私たちに提示してくれています。ここに本当のアリストテレス・オナシスの神話が見ることができましょう。彼は地獄で永遠の責め苦を負わされたタンタロスイクシオンのように、神を冒涜した一族として永遠にその名を残すことになるのです。(了)

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アリストテレス・オナシス
1906年1月20日(時刻不明)
トルコ イズミル生まれ
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マリア・カラス
1923年12月2日7:07
ニューヨーク市生まれ
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ジャクリーン・ケネディ
1929年7月28日14:30
ニューヨーク州サザンプトン生まれ
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ロバート・ケネディ
1925年11月20日15:11
マサチューセッツ州ブルックリン生まれ


原文(英語)はコチラ
報復の女神ネメシスとアリストテレス・オナシスの生涯(1)

by xavier_astro | 2011-01-16 00:00 | 人物  

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