ギリシャ哲学者イアンブリコスと祈りの力 (1)

私個人的には、今のこの時代が 9.11以前の数十年と比べ、より悪いまたは、より恐ろしい時代になったとは思いません。ただ、現実や出来事に対する私たちの認識がより明確になったに過ぎないのだと思います。私たちは今や、この世界をより現実的にとらえることができるようになりました。人間も自然も総じて、ありのままの姿が露になってきたからです。

政治や社会における急激で予期せぬ情勢の変化や、ハイチやチリで起きたような自然災害について考えると、その一端を取り上げただけでも、真実の覆いが取り払われつつあることは否定できません。どんなに私たちがポジティブな考えや、安心させてくれるような何らか方法に、心の焦点を合わせようとしても、不安が私たちのセキュリティー・システムの裏口を激しく叩き続けているのです。

このことは冥王星と土星の目的と関係しています。すなわち、現実を覆い隠す偽りを葬り去ることによって、世界中に起こる物質的、霊的な変容を、私たちは理解し、またそれに関わりを持つことができるようになるのです。気づきは私たちを惑いから遠ざけてくれます。これは本来、良いことのはずなのですが、しかし、どんなに私たちが上手くやりこなしたとしても、痛みは依然としてそこにあるままです。私たちは他の人が苦しんでいたり、動物が酷い扱いを受けたり、環境破壊などを見ると、痛みを感じるからです。




私は皆さんに最悪の可能性を想定することを提案してきました。それは、現実と向き合うことで視野を拡げ、自らの持てる資質を使えるようにするためです。もちろんこれは「最悪の事態が起きる」と言っているのとはまったく違います。

しかしながら、いかなる変容のプロセスにも伴って起きる、この自然の痛みを、どうやったら取り除くことができるのでしょうか?私たちの周りの痛みを抱えた人々の苦悩に、どのようにして向き合うことができるのでしょうか? その鍵となるのが慈悲という言葉なのです。慈悲とは解放であり拡張です。私たちは自らをオープンにし、慈悲が本来の働きをなし得るように集中し続ける必要があります。それでも、周囲の状況から危険を察知すると、私たちは皆すぐにその集中を失いがちであり、弱くなり、自己中心的になってしまうのです。

そういった絶望的な時には、助けを必要とします。私たちは慰めや平穏を求めますが、祈りこそがそこで人が手にできうる最も有為な助けとなるのです。マントラや、お経、祈りなど、自分が属する文化のもの、または自分に馴染むものなら何であれ、闇を打ち砕くパワフルな武器となります。

紀元4世紀アッシリアに生まれたイアンブリコスは、古代ギリシャの哲学者で、祈ることの力と意味について書き残しています。彼は必ずしも宗教について語っている訳ではなく、彼の知識は2つの主要な伝統的流派、新プラトン主義と古代エジプトの叡智から来ています。彼の最も知られている文献は、「エジプトの秘儀について」で、光の哲学や、聖なる儀式、そして祈りの力と意味に関する記述です。

古代末期に生きたこの素晴らしき霊的指導者を、ここで私は友人と読者の皆さんに紹介したいと思います。その理由の1つには、私はこの14年間、新プラントン主義をその原語で学び続けているからなのですが、その私の古代ギリシャ語の先生は、イアンブリコスに関する論文で、彼の博士号を取りました。2つ目の理由は、私の人生の今この時期に、祈りという行為について、さらに深く理解する必要があるという思いに至っているからです。
(次号に続く....)

原文(英語)はコチラ...
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by xavier_astro | 2010-04-02 00:00 | 人物  

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