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「トウキョウソナタ」〜本当の選択とは何か〜 (2)

黒澤さんの出生図の蠍座の土星をみると、(1955年7月19日神戸生まれ)、彼が、死とホラー(恐怖)を含んだ謎めいた状況に心惹かれるということが分かります。彼の以前の作品群はこの傾向が顕著ですが、トウキョウソナタの登場人物たちはそれぞれ違った種類の強迫観念に囚われています。実は、蠍座の土星は山羊座の冥王星と同じようにとらえることができます。土星は山羊座の支配星であり、そして冥王星は蠍座の支配星だからです。我々はこれをレシプロシティと呼び、相互に関係し合っていると見ます。そしてここから言えるのは、黒澤清監督は昨今、世界で一体何が起きているのか、について深く惹かれていると言うことであり、彼の深い無意識がそのメッセージをうまく表現していると言えるでしょう。

それ故に、トウキョウソナタの家族像は世界で起きていることを映す小宇宙を現しているのです。黒澤監督はおそらく月が蟹座にあると思われますが、世界的な危機の影響を探求する実験室として「家族の巣」を選んだというのも、蟹座的です。共感や結びつきと言ったテーマが彼の映画の根本的な主題です。例えば、インターネットに現れる幽霊の話である「回路 -KAIRO-」や、奇妙な一本の木が不可解にも森全体に影響していくというストーリーの「カリスマ」もそうです。



以前に、山羊座冥王星の先行き不案内な困難な時期においては、私たちは健全な形でもって、悲観的であり続けなくてはならない、最悪な事態は起こり得るのだと心に留めておかなくてはならない、と言うことを皆さんにお伝えしてきました。それは必ずしも起こる必要はありませんが、そう思っていることで、私たちは自分たちの活動の焦点を実質的な解決策へ向けることが出来るのです。この考え方の目的は、自分の周り全てが困難な状態にある時に、不自然な楽観主義者であり続けようとして、多くのエネルギーを浪費することを避けるためです。無理に自身を楽観的させることは、自分の恐れを抑圧するだけです。私たちの無意識は何が本当で何がそうでないかに気付いているのです。それ故に、不安感が高まり、そのうち耐え難いものとなってしまいかねません。

私が「トウキョウソナタ」から得た理解(啓示)は、我々は悲観的でかつ「現実的」であらねばならないと言うことです。私たちが誰しも持っている唯一確かな選択は、「現実」なのです。この4人の登場人物たちを助け、最終的に解放へと導くものは、彼らそれぞれが自身の現実を受け入れることを学ぶことであり、それを理解するために彼らは各々の修羅場を通り抜けねばなりませんでした。父親は現時点ではトイレ掃除しか出来ず、長男は不公平さ理解すると共に、現実を変えるために戦いへと参加し、妻は自分の家族への愛を認めつつも、やってきた挑戦を受け入れます。そして次男こそが実は鍵となる要素であり、光、芸術、人生における葛藤と変容の意味、そして試練の目的を象徴しているのです。

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原文(英語)はコチラ

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by xavier_astro | 2010-03-16 00:00 | 映画  

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