自分自身の内なるミューズ(女神)を理解し、祈りを捧ぐ

自分自身の内なるミューズ(女神)を理解し、祈りを捧ぐ
〜霊感と創造性の回復のために〜

註:ギリシャ神話で文芸を司る女神たちのことを『ムーサ』といいます。英語フランス語ではミューズで、こちらの方が私たちには馴染みがありますが、ここでは原文に準じてムーサで統一します。

最近、私がずっと考えていることは、いかに私たちがムーサに意識を向けなくなってしまったのかについてです。ムーサたちについて語ったり、その素晴らしさに思いをはせる人はほとんどいないようにも見受けられます。神や女神といった聖なる原型への理解を怠ったときに起こり得る問題は、私たちが神から与えられたギフト(才能)の喪失でありましょう。さらに、宇宙の原理に敬意を払わないために、罰を受けることすらあるのです。



私たちがムーサに無関心になってしまった主な理由は二つあります。一つ目は、霊感やインスピレーションや啓示というものは、詩人やアーティストのような優れた才能を与えられた人だけにもたらされる特権である、という先入観があるというため、二つ目は、この現代社会において、人々はムーサを単なる寓話として捉えるようになってしまったためです。簡単に言うならば、現代人は、才能も独自の考えもアイデアも、神聖なる啓示によって与えられたものではないと思っているのです。それぞれのムーサが人間に啓示と才能を与えているというのに、私たちはそうは思っていないのです。

しかし、人間がムーサへの配慮を怠り、なおざりな態度を取った罰は、まさに、霊感の喪失と、自身の創造性の否定として受けることとなるのでしょう。

ムーサの起源には諸説ありますが、最も有力なものは紀元前7世紀に活躍したギリシャの詩人、ヘシオドスによって伝えられました。ムーサは9人おり、ゼウス(木星)とムネモシュネ(記憶の女神)の聖なる夫婦が、9日間休みなく愛を交わして生まれてきたのが、9人のムーサです。このことは、拡大・知恵・寛大さの神が、記憶という、人類が手にした最も重要な力を、生殖によって豊かに繁栄させたことを意味します。記憶なしでは、進化・発展・文化・伝統は存在し得ません。9という数字は、木星、射手座、そして発展・ビジョン・宗教・哲学・人生における使命の領域を司る第9ハウスを表しています。

勿論、9日もの間休みなく愛を交わし続けるというアイデアは、馬鹿げていて少々やりすぎ感があるようにも思えます。しかし、この神話が伝えていることは、ムーサ誕生の喜びと創造性への、途方もない性的欲望と愛の喜びの力です。3×3という数字は、地上・地下・天の3つの世界の豊かさと肥沃さを表しており、ムーサたちが活動する世界としての現在・過去・未来の豊かさをも含んでいます。

神話によれば、ギリシャのヘリコン山にムーサたちのサンクチュアリ(聖域)があり、馬の泉という意味を持つ霊泉、ヒッポクレネの周りでムーサたちはいつも踊っていたと言われています。この泉は、翼を持つ馬、ペガサスが蹄で岩を蹴ったときに湧き出してきました。ここでのシンボルは、この世のものとは思えないような美しさと豊かさをたたえています。山は魂の高尚さの意を含み持ち、ヘリコン(Helicon)という名前は螺旋(helix)という意味からきています。太陽が山を中心にその周りを廻り、あたかもハート(太陽)が山の周りをぐるりとダンスしながら回っているかのようなイメージを与えます。そして、退治されたメデゥーサの身体から誕生したペガサスは、重いエネルギーや身についてしまった悪習慣、もつれてしまったものを、精妙で微細なエネルギーへと変容させるシンボルなのです。

ムーサたちは、常に泉と清らかな水の流れに関連しています。つまり、創造性とは、絶え間ない生命エネルギーの流れなのです。泉が枯れた時には、新たなものが生まれることはなくなり、霊感も枯れてしまいます。創造性にとって必要なものは、惜しみなく、生命エネルギーを流れるままにし続ける寛大さなのです。ここでひとつの矛盾に突き当たります。ナルキッソス(ナルシス)はこの泉で、水面に映った自分自身の姿を見て、恋に落ちてしまいました。つまり、過度の自己陶酔は、創造性の流れを妨げてしまうのです。私たちは、ムーサの力に自身を明け渡し、ムーサに取りつかれるべきでしょう。そして熱狂的であるべきでしょう。熱狂とは、神に取りつかれることを意味するのです。(Enthusiasm「熱狂」:en,theos=god)

それでは、1柱ずつ、ムーサを紹介します。私たちのムーサを理解し、祈りを捧げる方法を学びましょう。

カリオペ』は美しい声という意味の名を持つ、叙事詩のムーサです。叙事詩「イーリアス」と「オデュッセイア」は、カリオペへの祈りの言葉から始まります。喉のチャクラ(第5チャクラ)と関連があり、私たちは、第5チャクラからエネルギーが流れ出るイメージを持つことが大事です。カリオペは熱心な執筆活動において、その作品に霊感を与えます。関連する天体は、木星と火星です。

クレイオ』は、名声を得るという意味の名を持つ、歴史のムーサです。秘教的な教えによれば、歴史という学問は、人類が歩んできた道のりを理解するために洞察力と知恵を必要とします。クレイオーは慈愛の力を持ち、クラウンチャクラ(第7チャクラ)と関連します。天体は木星と土星が関連しています。

エラト』は、愛されている人という意味の名で、抒情詩と恋愛詩のムーサです。ハートから直接流れ出るエネルギーを表現し、ハートの知識、ハートとハートで対話する能力を持っています。関連するチャクラがハートチャクラ(第4チャクラ)であることは明らかです。天体は太陽と関連しています。

エウテルペ』は、喜びという意味の名を持つ、音楽とフルートのムーサです。第2チャクラと関連しており、命を伝え、愛を経験し、性的・精神的に他者に喜びを与える能力を持ちます。関連する天体は、金星と月です。

メルポメネ』は、歌い手という意味の名を持つ悲劇のムーサです。いつも悲劇用の仮面を手にしています。尊大さ、うぬぼれ、エゴの増大を理解する能力と関連し、対応するチャクラは第1チャクラです。なぜならば、第1チャクラは運命と、人間が置かれている状態の根本にあるものを表しているからです。関連する天体は、土星と冥王星です。

ポリュヒムニア』は、多くの讃美歌という意味で、聖なる詩のムーサです。儀式と、神秘的啓示を受け取るための聖なる言葉(歌)を知る者です。重く濃厚なエネルギーを、最も精妙なものへと変容させる力をもっているため、第1チャクラと第7チャクラに関連していると思われます。天体は、冥王星と海王星です。

テルプシコラ』は、合唱と舞踏の中で喜びを見出すという意味の、舞踏のムーサです。宇宙におけるエネルギーを、完全に、流れるままにさせる力を持ち、彼女が踊ると、秩序ある宇宙は生き生きと活気にあふれ続けます。天体は海王星、金星、天王星です。

タレイア』は、豊かさを意味する喜劇のムーサで、喜劇用の仮面がお決まりの持ち物です。喜劇とは、神々の戯れとゲームがこの人間世界に啓示として現れ出たものです。そしてユーモアがあるおかげで、私たちは寛大さをもっておおらかに、現実を理解することができます。豊かさと繁栄が自然と生み出されるためには、素晴らしいユーモアが必要です。あまりに深刻すぎると、ゆったりと広々とした心でいられません。関連する天体は木星と水星で、太陽神経叢のチャクラ(第3チャクラ)と関連しています。

ウラニア』は、天を意味する名を持ち、手に天球儀(宇宙)を持っている天文のムーサです。(始まりの頃は、まだ天文学と占星術の間にはなんら違いなどなかったのです。)彼女は、複雑なことや、宇宙の調和、宇宙と一体であることを理解するための、洞察力と知性を与えます。関連するチャクラは前額部のチャクラ(第6チャクラ)で、第三の目と呼ばれている個所です。関連する天体は、天王星、土星、水星です。

私たちは、自分自身が内側に持つムーサを理解し、承認しなければなりません。そして、自分と近しいムーサだけではなく、全てのムーサに祈りを捧げるべきでしょう。ムーサの神殿には、香が焚かれ、蜂蜜・湧き水・ミルクが捧げられます。蜜蜂はゼウス(木星)への捧げ物、湧き水は生命エネルギーの流れを表しています。そしてミルクは、生命と永遠の本質を表すものなのです。(終)

翻訳:八田直美(八田占星学研究所)  監修:GIRASOL

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by Xavier_Astro | 2016-11-01 00:00 | 神話 | Comments(0)  

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