『百年の孤独』の ガルシア・マルケス 逝く

「予告された殺人の記録」(1981)は、ガルシア・マルケスの作品の中でも、最も興味深いものの一つでしょう。読者は最初から話の展開を知っていて、この小説が、主人公が殺されるに至った経緯について書かれたものだと分かっているわけなのですが、にもかかわらず、誰しも読むのを止められないのです。

ガルシア・マルケスの訃報を聞いて、これと似たようなことが起きたような印象を持ちました。私たちはみな、彼が、年を取り、認知症の症状が出ていたことを知っていました。1999年にはリンパ腫の治療を受けていたのですが、彼のような聡明な人が病に冒されることなど、誰も望まなかったわけで、だから彼にとって一番いいのは、死ぬことかもしれないと思ったけれども、彼の訃報に私たちは今もなお、打ち拉がれています。



ガブリエル・ガルシア=マルケス(1927年3月6日午前9時、コロンビア・アラカタカ生まれ)は、非常に友好的な人柄で、彼のお抱えの運転手のような普通の人から、セレビリティ、著名なアーティスト、フランス前大統領フランソワ・ミッテラン氏に至るまで、世界中に本当にたくさんの友人がいました。
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Gabriel Garcia Marquez
March/6, 1927,
at 9am
in Aracataca, Colombia

賞賛と怒りが交錯する逸話のいい例ですが、2010年にノーベル文学賞を受賞したペルーの作家、マリオ・バルガス・リョサと、マルケスは友人関係だったはずですが、1976年のこと、バルガス・リョサはガルシア・マルケスの顔面にパンチを喰らわせたと世間を賑わしました。二人ともこの件について自ら語ることはなかったのですが、それからのちに何か話が漏れ伝わったとしても、バルガス・リョサはガルシア・マルケスのことを、スペインにおけるセルバンテス(ドン・キホーテの作者)以来の優れた作家であるといい続けたようです。これは、ラテンアメリカの作家にとっては最高の賞賛であり、なぜなら、ミゲル・デ・セルバンテスはスペイン語のシェイクスピアに相応すると言われているほどだからです。

ホロスコープの11室は、友人グループや将来の展望、可能性など示す場所ですが、ガルシア・マルケスの出生図には、木星(拡張、才能、豊富さ、旅行、名声、幸運)と土星とが魚座で、コンジャンクションしています。彼の本は、37カ国語にも翻訳されミリオンセラーにもなっていますが、彼自身は魚座ということで、非常に情け深く、いつも人々を助けていました。政治思想的にはアメリカ帝国主義に対抗して左翼的でした。彼の親友の一人にキューバの指導者フィデル・カストロがいましたが、ご存知の通り、革命家で、後には悪政を敷く独裁者となった人物です。私個人としては、この友好関係を批判してきました。しかしながら、ある時、この関係があったからこそ、多くの人をキューバから亡命させることができたし、あるいは、カストロの報復から彼らを護ることが出来たのだと知り、納得したものです。

ガルシア・マルケスのフィクションの物語全てに通じて描かれているのは、孤独というテーマです。彼は孤独な少年であったに違いなく、それは、両親が都会で働く間中、彼はその幼少期を、小さな村アラカタカの祖父母の元へ預けられて育ったからです。彼の月は7室にあって孤立化しており、それは、11室に表らされる彼の周りを取り囲むたくさんの友人や知人とは、食い違いがあります。友人たちと楽しみ、新たなものを生み出す間にも、彼は心の奥底では孤独を感じ、取り残された感じを覚えていたに違いないのです。月が、火星のサインである牡羊座にあり、彼の火星は射手座(不正に対する抑圧と憎悪)にある土星とオポジションを形成していることからも、彼の心は怒りに満ちていたことでしょう。おそらく彼は、この怒りという感情を乗り越えることはなかったものと思われます。

百年の孤独」は、彼の作品中最も知られているものでしょう。この話の中で、孤独はある種の病であり、全ての登場人物は孤独に苛まれており、家族全員、さらには家系の全てにおいて、代々に渡り、引き継がれる呪いのようなものである、と書かれています。あらゆる憂うつや物悲しさに打ち勝ち、超えていくには、イマジネーションとマジックを使うことがその解決策となり得るでしょう。

魚座の水星と天王星のコンジャンクションは、ガルシア・マルケスの想像する世界には境界線というものがなかったことを示しており、彼のイメージや思考はどの方向にも向かわせることが出来たのでしょう。彼のチャートに示される天王星は、彼が文学界に引き起こした革命を表しています。今日では、「マジックリアリズム」はありふれたものとなり、世界中の作家が良い悪い関係なく、これを受け継ぎ、まねをするようになりました。もしこの小説を読んだなら、そこに表現されるマジックとユーモアは今でも斬新に感じられることでしょう。何故、それが起こりうるのでしょうか?水星の性質には、ウィットに富ませる働きがあるのですが、いったんパターンを知ってしまうと、それは平凡なものと化してしまいます。それに比して、天王星は常に新しく、刷新し続けます。水星と天王星のコンビネーションは、新しい意味合いを創造し続けるということを表しています。

さらには、魚座の水の要素が、この作家の語り口を特徴づけています。それは、詩的なイメージに繊細な感情の折り混ざったメリハリのある描写です。魚座が人生で請け負う役割というのは、感情とともに新しい可能性を開かせ、体験させること、そして、それらの感情と結びついた新たな直観的理解を見出すことです。例えば、「コレラの時代の愛」は、年老いた夫婦の物語で、主人公らに対する慈しみと、敬意と、賞賛を感じることのできる物語です。最も特筆すべきは、愛と情熱にはお終いなどないことを私たちに理解させてくれることでしょうか。

彼のチャートには、土星(権威)と火星(反乱)のオポジションと、そこに木星(法律、正義感)がスクエアをなしてTスクエアを形成していますが、これはつまり、彼の精神のダークサイドの現れであり、
権力への衝動を意味しています。もちろん、ガルシア・マルケスは非道や不正と常に闘ったのですが、左翼であれ右翼であれ権力を持つ男という人物像に常に惹き付けられたのです。「族長の秋」は、独裁者を非難し愚弄するように描いているのですが、主人公を自分自身と関連づけ、非常に深く描いている点において、評価され得る作品です。そして、ガルシア・マルケス当人も、かつて、この小説こそ最も重要な作品であると語っています。

確かに、この作品で語られる言葉は非常に多様性に富み革新的です。族長の心と魂の奥深くにまで潜り、描き出しています。ガルシア・マルケスは、この男の抱く恐れをあぶり出していくのですが、最も私的な性の根本的欲求とその恐れについてまで描いています。私たちは、語り手によって、この男の孤独の深淵にまで連れて行かれることとなります。孤独の深淵とは、権力を欲するあまり魂が蝕まれていく男の行く末です。占星術的には、この話の全ては、マルケスの土星(権威)が射手座(正義と法)の8室(性と死)にあるところから来ていることが分かります。多くのラテンアメリカの作家らが、独裁者をテーマにして書くのですが、いい作品にならない理由は、自身の政治的な主張を入れ籠んでしまっているからでしょう。ガルシア・マルケスの場合は、族長の心の中に、隠れた神聖な子供がいることを発見し、この族長を普通の人と同じ人間であると見なし描きました。私たちはみな、自身のシャドウの内に、暴君を抱えているのです。そしてまた、救いと愛を欲する寂しがりの子供を、その内側に持っているものなのです。(終)

原文(英語)はコチラ
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by xavier_astro | 2014-06-02 00:00 | 人物 | Comments(0)  

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