シンクロニシティ「デビルズ・ダブル〜ある影武者の物語〜」(1)

カール・ユングの最も重要とされる現代心理学への提言はおそらくは、シンクロニシティという概念でしょう。この考えは、錬金術、占星術、神秘学やカバラなどの伝統科学を理解し、近代の科学の仲間とするその助けとなりました。シンクロニシティは、いくつかの分離した出来事は、原因と結果の関係に因らず、何らかの意味において繋がり合っているという考えで、これはノーベル物理学賞受賞の物理学者ウォルフガング・パウリによって証明された量子力学原理と呼応するものです。パウリとユングは、原因と結果の法則と我々が呼んでいるものは、価値や意味を探求する上での価値論的事実ではなく、統計に基づく真実であると考えました。



シンクロニシティは、別の言い方をすれば、どんな出来事もそれが起きた瞬間の特性を表しているのであり、宇宙の法則の神秘が表出したものなのだ、という考えです。ユングはこのシンクロニシティの概念を元に「易経」の占い(易)とその結果がどのようにその瞬間の真実を示すのかに関心を持ち理解を得ていくこととなります。占星術は、さらに明快な言語体系で、全宇宙と個体すなわち宇宙の統一体としてのひとりの人間の全体性をつなぐ言語と言えましょう。

カウンセラーとしての私は占星術、そして錬金術やカバラのような秘儀体系に長らく親しんできました。クライアント(や自分自身)のチャートを見る時、シンクロニシティはごく自然な現象として、基本的には日常的に起きてくることなのです。けれども一つのことに慣れたからといって、また別の止むことのない驚くようなシンクロニシティに慣れてしまうというわけはありません。シンクロニシティが私を驚かすのを止めることは決してないでしょう。

最近、「デビルズ・ダブル」というイギリス映画の原稿を書きました。サダム・フセインの長男ウダイ・フセインの人生とその恐ろしい行為に基づいて作られた映画ですが、最初にこれを観た時、ラティフ・ヤヒア(※実際の影武者となった人物)の本から翻案された物語の双子座的な主題に興味をそそられました。ラティフ・ヤヒアはかつてウダイのクラスメイトで、日々の生活の公の実質的な場面において、独裁者の息子の影武者として利用させられたのです。この物語の主題、扱われ方、場面や登場人物の描写はみな、占星術的には、二重性、鏡、反射のサインである双子座を連想させるものでした。それで私はますます興味をそそられ、この映画の主な登場人物の誕生日をチェックして面食らったものです。ウダイ・フセインは双子座で、ウダイの影武者を突然やることになったこの若者ラティフもまた双子座でした。それのみならず、この映画でウダイとその影武者の二役(悪い男と善い男)を演じた俳優のドミニク・クーパーもまた双子座、さらには、映画の監督リー・タマホリもまた双子座だったのです! 

ウダイ・フセインは1964年6月18日イラク・モスル生まれ、ラティフ・ヤヒアは1964年6月14日イラク・ティクリート生まれ、イギリス俳優ドミニク・クーパーは1978年6月2日グリニッジ(ロンドン)生まれ、そしてニュージーランドの監督リー・タマホリは1950年6月17日ウェリントン、ニュージーランドに生まれました。出生時間は誰のものも分からないのですが、双子座の典型的なのは気まぐれということで、水星的な起伏の激しい気質はいくつかの局面において明らかですが、また別の局面ではつかみどころのなさを表したりします。これらの出生データはブリタニカ百科事典から引用していますが、私の観点からは、これがもっとも重要で信頼のおける情報源なのですが、有名なウィキペディアでは、ウダイの生年を1965年としています。(※英語のWikipediaだけが1965年となっており他言語では全て1964年。表記ミスと思われる)面白いことに、1965年のチャートは1964年のものと極めて似通っているのです。これもまた双子座のトリックです。

デビルズ・ダブルは半分商業的で半分は芸術的な映画なので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、展開する驚くべきシンクロニシティを全く否定できる人は誰もいないでしょう。小説を読む時、映画や芝居を観る時、あるいはいかなる芸術的作品に触れる時でも、その場面や要素や登場人物がこれこれこういう風に占星術のサインやシンボルと関係しているとはっきり言うことができます。けれども、デビルズ・ダブルの場合は、シンボルの表れ方や起きてくることのシンクロニシティについていろいろ分析してみることもできるでしょう。それがこの映画の醍醐味と言えるかもしれません。

この映画は実話に基づいていますが、もし完全に作り話だったとしても、私たちはこの映画の中でのウダイの双子座的状況をはっきりと読むことができます。もうひとりの男を、彼の影武者として服従させるだけの強さが、彼(ウダイ)にあったことは事実であり、影武者とは、彼を傷つけたりあるいは殺すことすらするかもしれない全ての者たちから身を守るための盾の役目でした。監督はこの映画の中で対極のドラマ、黒と白、善と悪を描きますが、二人の登場人物は、あたかも双子の兄弟のごとく、互いのシャドウとして決して切り離すことは出来ないのです。このようにこれら全ての局面が、既に双子座的状況の幅広さを説明してくれています。けれども、ウダイ・フセインは歴史上に実在する人物ですから、これらの双子座の表現を事実として確認することができます。運命に取り憑かれた男たちはいずれも双子座で、この男たちを表現することに巻き込まれていった俳優と監督もまた双子座だったというのは、現実のことなのです。(続く)

e0182773_0551318.gif ウダイ・フセイン

e0182773_056245.gif ラティフ・ヤヒア

e0182773_0561550.gifドミニク・クーパー

e0182773_056490.gif リー・タマホリ

e0182773_0555198.gif ウダイ・フセイン(1965)


デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-公式ウェブサイト

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原文(英語)はコチラ
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by xavier_astro | 2012-11-02 00:00 | 心理  

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