ハウルの動く城 (1)

イントロダクション

宮崎駿監督はこの映画の中で、1986年に出版されたダイアナ・ウィン・ジョーンズ原作の小説、ハウルの動く城(※「魔法使いハウルと火の悪魔」)の、ある程度のあらすじは残しましたが、その大半の構想を作り直し、登場人物の心理的な性格に手を加えることで、反戦芸術家として自身のメッセージを伝えています。

ソフィーは原作よりももっと発展型で、他の宮崎アニメのヒロインのように、勇敢だし、思いやりにあふれ、そして直感的な性格に描かれています。例えば千尋やもののけ姫のような確固たる意志や火のような激しい性質を持った女性ですが、宮崎監督の出生図の牡羊座の月に表れているように、監督自身が抱いている女性性アーキタイプの確かな表現となっています。

一方で、監督は、ソフィーとハウル双方が抱く母親イメージとシャドウを強調しています。荒地の魔女の性格を凝縮させ、王室付き魔法使いマダム・サリマンをより強く、より賢い母親イメージにしています。「千と千尋の神隠し」の作中でも、湯婆婆とその姉の銭婆に同じテクニックを使い、同じ原型に二つの顔を持たせています。一方は強い欲望を表し、もう一方は厳格だけれど最終的には優しい母親アーキタイプの賢明さを表しています。

ハウルの性格については、監督は、より優しく興味をそそられるような性格を、映画用にデザインしています。小説では、魔法使いハウルは、若い女の子を追いかけ回し、責任から逃げることに時間を費やしているように描かれていますが、宮崎監督はハウルの視点をもっと拡大して、ハウルをよりカリスマ的で、護られた感じで、宮崎アニメにとって非常に重要なテーマである権力、戦争や平和といったことに関心を向けているように描きました。 (2)へ続く...

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宮崎駿監督
1941年1月5日 東京生まれ


原文はコチラ in English


魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉

ダイアナ・ウィン ジョーンズ / 徳間書店


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by xavier_astro | 2009-12-11 00:00 | 映画  

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